皆さんにお伝えしたいのは、合格のために必要な勉強は何か、というのを日々意識しながら必要な勉強を行ってほしいということです。
1 司法試験の受験を決意した経緯
高校時代の私は、公務員になるか企業に就職するかも悩んでいる状況にありました。そのため、大学は公務員・企業就職のどちらにでもいきやすい法学部に入ろうと決めました。
大学に入ってから、真剣に将来何になるかを考えました。学校側が主催するキャリア講演会に出席し、弁護士の方の話を聞く機会がありました。そのときから、部のOBの方や授業の先生の話を積極的に聞き、自分も弁護士として困っている人のすぐそばで力になりたいと強く考えました。
2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習)
ローに入る前は、基礎講座を受講するとともに、短答や論文の模試を受けました。また、短答過去問をコツコツやっていったり、えんしゅう本を数回、回したりもしていました。
3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習)
ローに入ってからは、必死に勉強をしました。朝8~9時頃には学校に行き、夜の10時45分頃まで勉強して家に帰る、という日々を過ごしました。
具体的には、ローの授業の予習を行うとともに、予備校の講義を聞いたり、えんしゅう本を回したり、短答過去問をやったり、趣旨規範ハンドブックの一元下をしたりしていました。このときは、ローの授業に終始せず、予備校本を使った自分の勉強もしっかりやるように意識していました。
4 受験対策としてとった辰已講座の利用方法とその成果
原孝至先生の基礎講座は、とにかく早く一周することを目標に、授業が公開されたらすぐに受けるということをしていました。それと並行して、授業でやった部分の過去問を確認してみる、ということもしていました。この方法のおかげで、効率よく法律知識を獲得できただけでなく、司法試験勉強の全体像や重要なポイントを短時間で学ぶことができました。
短答・論文答練は、ペースメーカとしての役割のほかに、自分の苦手な科目や分野、試験での改善点(ex起案の時間や問題を読む時間が長いのか短いのか等々)を知る良い機会でした。起案して提出することが厳しい問題についても、一回は起案して自分で振り返ることはしていました。
えんしゅう本講義100では、講義を聞いてえんしゅう本にある解答例の良いポイントや不十分なポイントを知り、先生の解説レジュメにある論証例や解答例に則り過去問演習を行いました。この講義によって、正確な知識を学ぶだけでなく、先生方の過去問に触れたときの考え方や解き方についても学ぶことが出来ました。
模試は、自分の実力を知るためのものとして活用していました。特に、試験直前の模試では、あまり成績が良くない科目については後の勉強では重点的にやる、といったこともしていました。
5 受験対策として私がやって成功した方法
(1) 短答
1つは、間違えた問題をワードに打ち込みながら、辰已の短答過去問パーフェクトを、とにかく回すことです。
過去問をやりこむことは重要だとよく言われます。ですが、単に回数を重ねるだけでは、正確な知識を定着させることは難しいです。そのため、私は、間違えた問題に関する重要な知識をワードにまとめた「短答ノート」を作成しました。そして、通学や休憩時間にこのノートを見ることにしていました。そして、完璧に定着した知識や、もう間違えないと確信したものについては斜線を引いたりしていました。
この勉強法のおかげで、誤った理解や知識の矯正を図ることができ、過去問と異なる角度からの問題にも対処することができるようになりました。
もう1つは、本番を意識した学習を行うことです。
パーフェクトでは解けるのに、もしや本番では解けない、といった経験を持つ人もいるかと思います。この原因は、知識が定着していないこともあるかと思いますが、試験そのものに慣れていない、又は試験になると慌ててしまい冷静さを欠いてしまう、といったことも挙げられると思います。私も同じような悩みを持っていました。
そこで、問題用紙を法務所のHPからプリントし、年度ごとに、時間を計って、本番さながらの緊張感で問題を解くことをしていました。パーフェクトを何週もしていても間違えてしまった問題には付箋を貼り、しっかり見直せるようにしました。
この勉強法のおかげで、自分の弱点を発見できただけでなく、本番でも焦ることなく冷静に問題を解くことができました。
(2) 論文
1つは、辰已のえんしゅう本やぶんせき本を用いて、過去問を徹底的にやりこんだことです。
えんしゅう本では旧司の問題、ぶんせき本では新司(予備)について、何回も学習しました。旧司については何回も答案構成を行いました。新司と予備については基本的には起案を行い、時間がなければ答案構成を行いました。特に新司については、出題趣旨・採点実感についてもしっかり読みこみ、ぶんせき本の再現答案を読みこんで「ここはこう書けばいいのか!」というところまで振り返りました。
過去問を回していくことは、時間も気力も使うためとてもしんどかったです。ですが、私は、過去問表なるものをつくり、解いた年の科目については色を塗るといったことをしていました。早くすべて埋めたい、ということでもやる気を上げて継続的に過去問演習を行うことが出来ました。
もう1つは、自分の起案での弱点を理解し、それを克服するように日々意識したことです。
私は、起案における文章がわかりづらいことや、文章の流れが整っていないなどの弱点がありました。この弱点を克服するためには、日々の過去問検討において、答案構成にとどめるのではなく実際に起案をして振り返ることをしていました(ただ、このような勉強ができたのも、前述した過去問の徹底的な繰り返しを行い、ある程度知識が入っている状態だからできたところもあります)。
6 受験対策として私が使用した本
上記に述べた本以外にも、私は辰已の趣旨規範ハンドブックを使っていました。同書には、授業や過去問で学んだ知識を書き込んでいました。そして、暗記を行うのに向いている時間が夜であるということで、その時間帯に趣旨規範ハンドブックの論証例を暗記していました。
ハンドブックへの書き込みが多くなりすぎてしまい、内容がぐちゃぐちゃになってしまったため、他の予備校本を使った時もありました。ですが、ハンドブックの知識が基盤となるまでやりこんだからこそ、他の予備校本を使っても違和感はなかったですし、本番でもしっかり知識を引き出すことが出来たと思います。
また、辰已の「読み解く合格思考」シリーズの憲法・民法や、「司法試験論文過去問LIVE解説講義本 末永敏和 商法」を使用していました。
「読み解く合格思考」シリーズは、何回も通読をしました。問題を解くうえでの合格者の思考方法を覗き見ることができ、「あ、ここはこのように考えればいいのか」といった気付きを何回も得ることができました。
「解説講義本」は、司法試験の考査委員も務められた末永先生が、過去の試験問題を分析し、合格者答案の良いところや改善点を示し、合格者答案を基礎にして末永先生が手を加えた修正答案も掲載されている本です。同書は、過去問起案後に本を読み、自分の起案の良い点・改善点を振り返るといったことをしていました。ぶんせき本とは違う視点で問題を分析しているので、両書を見ておく意義はあると思います。
7 これから受験する人へのアドバイス
まず、初回受験者の方には、司法試験当日までの過ごし方、試験中の生活の仕方に注意してほしいということをお伝えしたいです。
司法試験は、試験時間が合計約20時間にもわたる長い試験です。受験してみると、そのしんどさは想像以上でした。そのため、試験時間中にどうすれば100%のパフォーマンスを発揮できるか、ということを日ごろから考えて生活をしてほしいです。
私が実際にやっていたのは、日ごろから長時間の勉強や運動をして体力をつける、模試で本番の予行練習を直前期には本番と同じ試験科目のサイクルで勉強をしたり、本番と同じように睡眠と起床を行う、体力が落ちないようにしっかり睡眠をとり栄養を補給する、といったことをしていました。
試験本番では、荷物を少なくする、休み時間にはお菓子やカロリーメイトをずっと食べる、中休みの日にはメリハリをつけて勉強を行いそれ以外は休憩に徹する、無理をしない、ホテルであまり眠れない体質だったので家から通う、等々をしていました(ちなみに、ホテルに泊まらなければならない方でしたら、布団になれておくために早めにホテルで宿泊をするといったことをしても良いかもしれません)。
次に、皆さんにお伝えしたいのは、合格のために必要な勉強は何か、というのを日々意識しながら必要な勉強を行ってほしいということです。
知識面に不安がある方もいますし、時間が足りない方、起案での文書表現に問題がる方等々、勉強している人それぞれには、合格するために克服するべき点があります。中には、過去問は検討しつくし過去問なら合格答案を書けるが、新しい問題になると途端に書けなくなる、という方もいらっしゃると思います(もちろん、これらはあくまでも例ですので、真の自分の弱点は何かを起案を振り返ったりして考えてみてください)。
このように、自分の置かれている現状や克服するべき点は、人それぞれです。ですので、思考停止状態のまま「あの人がこうしているから自分もやる」というのではなく、自分の弱点をしっかり理解したうえで、その弱点克服のための勉強はどのようなものがあるのか、という視点で日々の勉強を振り返ったり、合格者の話を聞き自分の勉強に取り入れていってほしいです。
最後までよんでいただき、ありがとうございました。これを読んでくださった皆さまの夢が叶うことを祈念しております。
辰已法律研究所 受講歴
【2020年対策】
・予備試験 論文公開模試
【2019年対策】
・総択
【2018年対策】
・論文えんしゅう講義100
【2017年対策】
・原孝至 基礎講座
・スタンダード論文答練(夏期・第1・2クール)
・スタンダード短答オープン(第1・2クール)