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田端講師は受講後の質問対応や
学習指導の中で的確な助言をしてくれた

M..Tさん
受験歴: 3回
令和 4 年度合格者
2022年度

はじめに

 社会人として、キャリアアップや実務への役立ちの一環として他資格の学習を進めるうち、法律系の分野に興味を深めるようになりました。はじめのうちは主に市販書等での独学だったのですが、受験回数を重ねるものの、あと一歩の結果も含めてなかなか思うように結果が出ず、このままずるずると学習していても仕方ないと一念発起するに至りました。
 その際、他資格で知った辰已法律研究所の司法書士講座で、当時から記述講座を担当されていた田端講師を存じ上げていたところ、たまたまそれまでの学習経験が運よく功を奏し、司法書士講座の Web 奨学生試験で上位となり割引の機会があった際に、パーフェクトユニット講座を含んだ令和 3 年の本試験後スタートの 1 年合格スタンダードパックを申し込みました。

私のとった勉強方法

 まず、択一対策については、本試験後の年内概ね 3か月程度で、受講したパーフェクトユニット講座のインプットと肢別過去問題集を繰り返し、概ね 9 割程度の正答率にまで引き上げました。その際、パーフェクトユニット講座では復習講義として講師が過去問解説をしつつ講義の知識のポイントチェックをしてくれるため、自身の独学時の良くない習慣のひとつであった、テキスト読みっぱなしによる知識の定着度低下という問題が改善できました。振り返ると、過去問で 9 割程度の正答率にまで到達しておくことで、答練や模試を含む問題演習の際に基本的な問題はさほどの苦労なく正解できるようになることから、合否を分けるような問題の復習に時間を割きやすくなることで、年明け以後の学習効果を高めるための重要な基盤となってくれたように思います。
 また、本試験の出題内容のうち、特に登記法については年度によって難易度に差があることから、応用的な出題の多い年の翌年に自身がその科目を必要以上に突き詰めようとするという受験生特有の心理状態が生ずることにも、講師への質問を通じて気付くことができました。
 試験後に知ったのですが、心理学ではツァイガルニク効果という、達成できた事柄よりも、達成できなかった事柄や中断している事柄の方をよく覚えている現象があるそうです。つまり、できなかった問題に対して意識が行くこと自体は受験生の心理として至極当然であるし、自然な心理現象である以上はその心持ちの方向性自体をストレートに否定してしまうのは単なる人格否定にほかならず、もってのほかではあるけれども、果たしてそのできなかった問題や知らなかった知識が、本当に得点すべき問題であったか、知らないといけなかったかというのはまた別の問題であった訳です。特に、何を、どれだけ知っていなければならないのか、どの程度できなければならないのか、という悩みや不安は、合格ラインに近づいた受験生ほど大きくなるものであろうとも思っています。ですから、受験生の立場としては、真面目な受験生であればあるほど、できなかった問題への反省や、ひいてはその帰結として学習範囲をいたずらに広げてしまいがちだけれども、それは本当に反省すべきものであるのか、そこまで学習範囲を広げなければならないのか、ということを一旦立ち止まって再考していただきたいです。
 実際、合格した年の発表待ちの期間でそれまでの成績について自己分析をしてみたところ、相対的な順位と基準点からの上乗せの程度自体は連動しており、問題の難易度には関係なく取るべき問題を取り切れたのかということが合格にあっては最も重要であることに変わりがありませんでした。
 お恥ずかしい話ですが、自身もまさに出題レベル難化の年にあと一歩で涙を飲んだ経験から、上記の心理現象が生じて学習範囲の拡大に走りかけていました。田端講師は受講後の質問対応や学習指導の中で、あと一歩に至るまでの自身の努力や過程は認めていただいた上で、しかし合格のためには取るべき基礎を固めることこそが重要であり、ご経験をもとにその重要性を伝えることがご自身の務めである、とのご助言をいただいたことは、非常に印象的でした。更には、不合格であった年の各科目について、それぞれあと何問程度取るべきであったかについても的確なご助言をいただき、実際に合格した年には、その科目別目標正解数に近い水準となっていました。
 そして年明けからは、年内にある程度固めた知識を生かして、より実戦的な問題演習に取り組みました。それら演習を通じて、理解していたはずの過去問知識の抜け漏れや、問われ方が変わっただけで問題が解けなくなること、近年の司法書士試験では主流である5肢択一形式の組み合わせ問題における軸となる選択肢の見抜き(軸肢を即断し過ぎるミスの経験を含みます)など、本試験では重要となる実戦的な解答技術を磨きました。特に、オープン総合答練や公開模試を通じて、科目によって過去問からの再出題の割合にある程度ばらつきがあることにも気付き、過去問からの再出題の割合が低い科目(特に、会社法)はテキストをベースに、高い科目(特に、民法や午後マイナー科目)は過去問題集をベースにするといった使い分けをしつつ、直前期学習の効果・効率の向上を図りました。振り返るとこのような気付きも、オープン総合答練や公開模試の出題が目標年度の本試験の出題内容を意識して練られた内容であったが故であったのであろうと思います。
 次に記述対策については、こちらも講座で使用する記述問題集を利用しつつ、概ね 3 月頃まではいわゆる記述のひな形の精度を高めつつ、問題の読み取りやパターンの習得に努めました。田端講師の記述問題集は、比較的小問で幅広い分野をカバーしていることから、反復によるひな形知識の定着や前回問題を解いてからの時間の経過による知識や解答技術の劣化を防ぎやすくてとても助かりました。ちなみに、年明けから 3 月の間で追加受講した記述リメイク演習講座や、直前期のオープン総合答練、公開模試によって本試験レベルの総合問題に数多く触れた機会が、更なる応用力のための足掛かりとなってくれました。令和 3 年の不動産登記法でいわゆる枠ずれを起こしてしまい、大失点を食らった苦い経験を二度とするまいという思いは、上記の学習の成果として令和 4 年本試験で日の目を見ました。

社会人としての勉強方法

 自身は仕事をしながら、しかも年明けから 6 月頃までが比較的忙しいという特性がありました。このため、独学では仕事が忙しいときに勉強が思うように進まず、それが更に学習意欲の低下につながり、気付くと長期間勉強ができていないといった状況を招くことがありました。この点、パーフェクトユニット講座では、概ね 1 時間程度前後で1ユニットごとにインプット(講義、記述予習)とアウトプット(過去問演習、記述演習)が組まれているため、一定の達成感を持ちながら学習を進められました。また、同講座では通常の講座よりも全科目の配信スケジュールが早いことから、もう少し進めたいという更なる学習意欲がわいた際にもそれに合わせて学習を促進することができました。また、講座申し込み後に田端講師へ質問と共に自身の可処分時間に基づくスケジュールを相談し、アドバイスを受けながら学習を進められたことで、一定の安心感もありました。
 このように、お仕事をされている社会人の方が勉強をするにあたっては、ご自身の忙しさを事前に把握されておき、可処分時間を有効に活用することが大切です。また、思うように学習が進まないようなときにも、ご自身が少しでもできていること、それまで積み上げてきたことをしっかりと認識され、認めてあげることで、学習意欲を維持できるようにすることが重要であると感じます。

本試験当日

 まずは午前。独学時代に基礎的な問題を読み飛ばしや読み違いによって失点していた苦い経験があったことから、過去問知識の精度を高めた分だけ、問題検討を丁寧にすることを意識しました。その効果か、初めて目にする分野の問題や応用的な問題にも落ち着いて取り組めました。特に印象深かったのは、午前の憲法で初めて出題された判例が公開模試で見覚えのあるものであったことで、全くの初見だといきなり焦ってしまうなど、冷静さを欠いてしまいかねないところ、平静を保つことができました。終わってみれば、目標であった 30 問を超える 31 問を正解(589 位)できました。
 一方、時間的制約の厳しい午後は、これまでの答練や模試での経験で培った時間配分を守ることをしっかりと意識しました。そのおかげか、多少の読み違い等による失点はありながらも、択一は商業登記法での満点を含む 28 問正解(964 位)とまずまずの出来。記述では不動産登記法も枠ずれなし、商業登記法の合同会社という多くの受験生が面食らったと思われる出題にも、ひとまず解答をひと通りは書き切ることができ、合計 47.5 点(223 位)と、記述式採点者の上位約 10%に入ることができました。
 終わってみれば、合格点の 216.5 点に対し、224.5点と、択一 2~3 問分程度の余裕を持って合格することができました。

最後に

 司法書士試験筆記試験に合格してから、口述試験等の後で合格者同士お話する機会があったのですが、自身以外の通信のみの社会人受験生の存在や、いかにその学習環境が孤独であったかということを、改めて実感できました。それでいて標準学習時間 3,000 時間と言われる割には、司法書士試験や司法書士自体を知らない周囲からは、その大変さを必ずしも十分には理解されるとも限らないということもまた、感じました。今思えば、ふと試験直前期の追い込みの際によぎる、自分はいったい何をしているのだろうか、という漠然とした寂寥感は、その表れであったのかも知れません。
 そのような孤独や不安を抱えつつも日々学習を継続されている受験生は、単なる学習の大変さだけではない二重、三重のストレスの中にあると言え、それだけで十分に評価に値する努力をされていると思いますし、その努力はいずれ報われるべきものであると、強く思います。あとは、その努力を成果に結びつけるべく、合格のために必要なことを、必要なだけ、積み重ねて本試験に臨むだけです。
 これまで決して順調・平坦な行程ではありませんでしたが、様々なご縁によって、私の合格があると思います。それらのすべてに心からの感謝を申し述べ、この体験記を結びたいと思います。どうもありがとうございました。

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