司法試験

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適切に敗因分析して謙虚に修正する

栗島 渉さん
受験歴: 受験歴: 新試験3回
南山大学法学部法律学科
名古屋大学法科大学院 【既修】2015年入学・2017年修了
【受講歴】2019年司法試験全国公開模試 他
既修者リベンジ合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 大学で法律の勉強をしていくうちに、生の事件を法律で処理することの楽しさを実感するようになりました。また、法曹になる道がありながら他の仕事に就くことを我慢できない自分がいました。そこで、確固たる自信のないまま法曹になるべく司法試験の受験を決意しました。

2 法科大学院受験前の学習状況

 西口竜司先生が担当されていた入門講座を受講しました。この講座を通して、基本書を読んだり、短文事例問題を解いたりしました。

3 法科大学院入学後の学習状況

 既修1年生の12月頃から、過去問の答案を書いて添削し合う自主ゼミを組みました。時期によって週1~3くらいのペースで行い、司法試験の直前まで続いたので、とても多くの答案を書いたことになります。また、授業の予習・課題に追われて大変なこともありましたが、ある程度割り切ることによって、司法試験の対策が疎かにならないように気を付けました。

4 司法試験受験対策

⑴ 辰已講座の利用方法とその成果
 前述のとおり、法科大学院受験前に入門講座を受講したことによって、司法試験対策としての学習範囲をなんとなく掴めた気がしました。初期段階の勉強で全容をはっきりと把握するのは無理でしょうから、“なんとなく”がちょうど良いと思います。
 また、司法試験を受験する年からは毎年スタ論と全国模試を受講しました。これらは勉強の節目に設定することができるので、ダラダラと勉強してしまうことを回避してくれます。
 さらに、スタ論では福田クラスを選択しました。福田クラスでは最初に「総論レジュメ」が配付されます。「総論レジュメ」には福田俊彦先生の全てのノウハウが詰まっていると言っても過言ではありません。司法試験対策に対する私の考え方のベースは「総論レジュメ」で出来上がっています。また、講義では「総論レジュメ」を参照しつつ“すべらない答案”を書くためのノウハウが具体的に提示されます。決して特別なことを教えてくださるわけではありませんが、(特にリベンジ)受験生が意識していそうで全くしていないことについて、事細かに教えてくださいました。ここで問題であるのが、教えてくださることが“受験生が意識していそうで全くしていないこと”である点です。そうであるが故に、受講生自身が“そういえばこの点は全く意識していなかったな”と自覚しなければ、福田クラスの効用を真に享受することは難しいかもしれません。言い換えると、受験生が意識すべきことは「総論レジュメ」や講義等で福田先生が明示的に提示してくださるので、受講生はそれをスポンジのように吸収して日々自己分析する必要があると思います。
 加えて、名古屋本校で実施されていたスタ論ゼミを受講しました。同ゼミでは、受講生がお互いの答案の良い点・改善点をコメントするという形式をとっていました。そのため、答案を書く時には他の受講生に見られることを意識するようになりますし、他の受講生の答案を見る時には相場観を意識するようになります。そうすると、次第に読み手にとって読みやすく、かつ、多数派の受験生に沿った論述をすることができるようになっていきました。

⑵ 私がやって成功した方法
 第1に、早期に過去問に着手したことです。過去問の答案を書くのが最も辛い時期は、答案を書き始めた段階でしょう。なぜなら、問題がとても難しく見えますし、答案に何を書いたら良いかが分からないからです。これは過去問に着手する時期をどれだけ遅らせても変わらないと思います。そのため、早期に過去問に着手するに越したことはないはずです。出題趣旨・採点実感・再現答案を分析し、上手に答案に反映できるようになれば、そのうち2時間があっという間に感じられると思います。なお、私は常に2時間以内に答案を書き終えるようにしていました。
 第2に、名古屋本校でゼミを受講したことです。ゼミでは他の受験生の答案を読むことができます。勉強期間が長くなると、どうしても他の受験生の答案の悪い所だけに目が行きがちです。しかし、ゼミでは良い点も指摘することが求められていましたので、謙虚な姿勢で分析に臨むことができました。謙虚な姿勢というのは司法試験の勉強一般に通じることであり、この姿勢があって初めて自分に足りないものが見えてくることも少なくありません。また、自分の答案を読んでもらった他の受験生から、リアルな意見を貰うことができます。この自分だけに向けられた他人の意見こそが、自分に足りないものであると思います。前述の謙虚な姿勢がなければ、その意見が自分に足りないものであるということにすら気付けません。私に限ったことかもしれませんが、受験勉強を続けていると無意識的に偏屈になってきます。指摘されたことに対して“なるほど”と思うだけではなく、それを改善するための具体的な対策を考えられる程に純粋な気持ちを持ち続けることが大事ではないかと思います。
 第3に、基本的事項は多数派の受験生と同じように、応用的事項は自分の思考過程を採点者に伝えるように論じることを意識したことです。前者について、多数派の受験生は一定程度正確な論述をするので、その程度以下の論述をしてしまうと差を付けられてしまいます。そのため、条文の文言・趣旨・規範・事実摘示を正確に押さえることが得点の鍵になると思います。後者について、応用的事項であるからこそ、多数派の受験生の論述を意識することは難しいです。そうすると、パニックになった状態で訳の分からないことを論じてしまいがちです。しかし、応用的事項については上手く守り切らなければなりません。そのためには、自分の思考過程を答案に示すことで、自分はこのように思考を巡らせたのだということを採点者に伝えることが必要だと思います。なぜなら、思考を巡らせること自体が採点者の求めることではないかと考えられるからです。また、思考過程を答案に示すことができるということは、矛盾のない論理を積み上げられることを担保します。逆に、答案に示すことができない場合、得てしてその思考過程は論理矛盾を起こしており、得点できないことは言うまでもありません。なお、思考過程を答案に示すことと冗長な論述をすることは同義ではないので、注意してください。

⑶ 私が使用した本
【論文】
 憲法は、「読み解く合格思考憲法」(辰已)を使用しました。何度も問題を解いて、重要判例の判旨を答案上のどの部分で活用できるかを意識しました。
 行政法は、「基本行政法」(日本評論社)を使用しました。重要判例のポイントが的確に記載されていたので、それを答案に反映する場合にどのように論述するかを意識しました。
 民法は、「読み解く合格思考民法」(辰已)を使用しました。条文の文言から論述する姿勢やメリハリの付け方を参考にしました。
 会社法は、「Newえんしゅう本」(辰已)を使用しました。同書に掲載されている問題が本試験で出題されても落とさないように、何度も問題を解きました(具体的には、問題を読んだ後に約10分で答案構成をしました。)。
 民事訴訟法も会社法と同様です。
 刑法は、「刑法事例演習教材」(有斐閣)を使用しました。問題を読んだ後に約10分で答案構成をした後、インターネットで購入した答案例を見て自分の考え方とのズレを確認しました。
刑事訴訟法は、会社法・民事訴訟法と同様です。

【短答】
 全科目について、「短答過去問パーフェクト」(辰已)を使用しました。特に、民法については、短答・論文ともに苦手意識があったので、正解・不正解の判断を厳しめに行っていました。すなわち、論文で論述するとしたらどのように三段論法で論じるかを基準として、正確に思い浮かばなければ不正解と判断するようにしていました。また、統治機構(憲法)・家族法(民法)・罪数(刑法)等の短答プロパーが問われる部分については、局所的に「肢別本」(辰已)を使用しました。

5 これから受験する人へのアドバイス

⑴ LS在学生へ
 授業の予習・課題が想像以上に大変かもしれません。しかし、完璧な質を求められているわけではないはずですから、過去問の着手を遅らせても良い理由にはなりません。ぜひ実際に手を動かして答案を書き、答案を書くことに早く慣れてください。また、在学中に短答(過去問)で合格点を取れるようにしておいてください。もしかしたら短答で足切りにあってしまうかもしれないという不安は、思いのほか論文式試験を受けている時にもプレッシャーになってしまいます。

⑵ 来年のリベンジ合格を目指している方へ
 敗因を勉強の量だけに求めないでください。少なからず勉強の質も不足しているはずです。また、他人の客観的な意見に素直に耳を傾けてください。意地を張らないでください。余計なお世話かもしれませんが、普段の生活態度を改めることによっても、ひいては勉強に対する姿勢が改善されるかもしれません。さらに、短答では8割の点数を取れるように力を入れてください。リベンジ受験生であるからこそ、短答の点数の重要性は言うまでもなく理解されていると思います。
 皆様の合格を祈念しております。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・なごや塾
・司法試験全国公開模試

【2018年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・なごや塾
・司法試験 総択
・司法試験全国公開模試

【2017年対策】
・スタンダード論文答練 福田クラス(第1・2クール)
・司法試験 総択
・司法試験全国公開模試

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