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劣等生でも合格できる!相対化した自分を把握して不十分な能力を補強しよう!

村山 徹さん
受験歴: 受験歴: 新試験2回
中央大学法学部
法政大学法科大学院 【既修】2015年入学・2018年修了
【受講歴】2018年スタンダード論文答練(第1・2クール)、司法試験全国公開模試 他
既修者リベンジ合格

1 司法試験の受験を決意した経緯、合格までの道のり

 ある弁護士の講演会に参加したときに、当時は当たり前とされていたブラックバイトに対し残業代を支払わせることに成功した話を聞き、法律には世間の常識とされていることを変えていける力があるのだと感じ、法律家に魅力を感じるようになり、司法試験を受験する決意をしました。しかし、私には法律のセンスがなかったため、決して容易な道ではありませんでした。実際に、学部では法律科目の単位を再履修することになったり、法科大学院浪人を経験したり、法科大学院入学後も留年したり、司法試験も1回目は不合格となったりと、法律においては劣等生そのものでした。

2 法科大学院受験前の学習状況

 中央大学には、炎の塔として知られる法職多摩研究室があり、そこでは司法試験に向けた勉強をすることができるのですが、私は入室試験を突破できませんでした。また、3年生以後に入ることができる法律科目のゼミにおいても抽選に漏れてしまいました。さらに、仲の良い友人達は司法試験を目指していない者ばかりでした。このような状況でしたので、私は自分一人で法律の勉強していました。法科大学院浪人となった年には、辰已法律研究所の司法試験の論文指導の講座を受けました。

3 法科大学院入学後の学習状況

 法科大学院入学後は、自分の勉強が、そもそも司法試験に向けた法律の勉強の方法として適切ではなかったことに気づかされました。しかし、既修コースで入学したものの、授業についていけないレベルの知識であったため、事前課題や予習に追われ、結局どのような勉強をすればよいのかわからず、十分な実力がつかず留年に至りました。留年後は、修了に必要な単位に余裕ができたので、いろいろな勉強を試してみて、辰已のスタンダード論文答練も利用していました。

4 辰已講座の利用方法とその成果

 私は、スタンダード論文答練と全国模試を利用していました。司法試験という試験には、明瞭な合格点が設定されておらず、相対評価で合否が決まるという大きな特徴があります。つまり、司法試験を受験する者達の中で、自分がどのような立ち位置にいるのかを知り、どのような答案を書けばどれくらいの順位になるのかを予想できるようにならなければ、合格することは難しいのです。そういった相対化した自分を知るためにも、成績がつく答案練習会や全国模試で、どのような答案を書けばどのような成績がつくのかを自分の中に蓄積させることは重要でした。また、周りに自分の集中力を阻害するような人がいるかもしれない環境で答案を書くことは、本番で周囲の環境が悪くとも実力を発揮するための実践的な訓練ともなっていました。

5 私の司法試験対策

(1) 目標設定
 私は、法科大学院での成績も振るわず、答練や模試での成績も散々であったので、上位合格を目指すのはあきらめました。また、分野ごとの出来不出来の差が著しいこともあり、得意な部分を伸ばすのではなく、苦手な部分で大失敗しないようにしようと考えました。

(2) 短答対策
 辰已法律研究所の金沢幸彦先生の受け売りなのですが、全体正答率60%以上の問題だけを全問正解すれば、短答式合格者の平均点が取れます。つまり、全体正答率60%以上の問題を全問正解できれば、論文式の成績が平均的であっても、短答の結果が合否において不利に働くことはないということです。
 そこで、私は、辰已法律研究所の短答過去問パーフェクトを購入し、解説ページの正答率を見て、問題ページの色塗りをしました。具体的には、正答率80%以上の問題の問題番号にマーカー、正答率60%未満の問題の問題番号には斜線を引きました。そして、1周目は80%以上の問題、2周目は60%以上の問題、3周目は80%以上の問題、4周目は80%以上で間違えた問題と60%以上80%未満の問題、5周目は60%以上で間違えた問題を解きました。短答式試験は、すべての選択肢の正誤がわからなくても解ける問題が多いので、すべての選択肢を見ずとも正解が導けた問題は、見なかった選択肢の検討はしませんでした。間違えた問題は、問題のページに間違えた日付を記入し、全選択肢を検討しなおして、その結果間違えた選択肢には解説ページの選択肢の横に正の字で誤答回数がわかるようにしました。また、解説ページでは覚えるべき結論に緑マーカー、結論の理由に黄色マーカーでアンダーラインを引きました。
 短答式は暗記勝負なので、司法試験1か月前の4月から重点的・集中的に取り組むことを勧めたいです。気持ちが焦ってしまう人はもう少し早く取り組むべきでしょうけれど、長期的に取り組んでも細かい知識は記憶として定着しがたいですし、論文式の勉強に比べて無心で取り組めるため直前期の勉強として向いていると感じました。
 実際に私はこの方法で合格者平均点を獲得することができました。

(3) 論文対策
 司法試験は、書いたものでしか評価されませんし、処理能力が求められているので、過去問に取り組むのが最善の方法だと思います。私は、各科目、のべ約8回約5種類に取り組みました。最初は時間通りに終わらせるのは大変なので時間超過をしていましたが、3回目くらいからは時間を守って取り組みました。字を書く速さ、答案構成する時間、相手に伝わるかどうかなど、考えるべきことは多岐にわたり、時間内に終わらせるために今後どのようなことに取り組まなければならないかを考える必要があるからです。また、書いた答案はどんなに出来が悪いとわかっていても、人に見てもらいました。書くべきことがわからなかったという以前に、文章の形式そのものを改める必要があることや、わからなかったなりにどうあがくべきだったかを知ったりすることができました。特に、答案批評者に口頭で補足説明すればわかってもらえることは多いため、口頭での説明をして自分は正しかったなどと考えずに、口頭での説明が不要になるような文章を作りあげていくことを考えていきました。
 過去問では、採点実感で受験生の相場を知ることはできますが、それは当時の受験生の相場に過ぎないため、現在の受験生の方が優れていることがあり得ます。現在の相対化された自分の実力を知るために、答案練習会に参加することは非常に有用でした。また、多くの受験生が利用しているものを自分も利用することは、皆ができるのに自分はできないといった相対評価における最悪のケースを回避するためにも有用です。辰已法律研究所のスタンダード論文答練は利用者が多いため、相対化した自分を知るのに適切ですし、答練で出題された問題が司法試験に出題されたケースもあり、利用していないことが大きなディスアドバンテージになりえますので、受講してよかったです。また、全国模試は本番の同じ会場で取り組めるため、交通手段や宿泊施設の利用をどうするかといった勉強外の部分への気付きもあり、本番へのいいシミュレーションになりました。

6 受験に向けて使用した本

・読み解く合格思考憲法(辰已)
 憲法判例をどのように答案に盛り込むのかがよくわかっていなかったため、第4の人権各論で人権ごとに想起すべき判例と答案で出すべき場所を覚えました。

・読み解く合格思考民法(辰已)
 解釈にゆだねられている部分の記述が法律文章として読んでもらえないことが多かったため、どのように考え記述するかのトレーニングとして、すべてに取り組みました。

・Newえんしゅう本(商法・民事訴訟法)(辰已)
 新司法試験の問題を解いていて、何が論点か、その論点についてどう考えるのかを外してばかりだったため、端的にまとまっている問題集として、トレーニング・復習に最適でした。苦手科目で最低限をしっかり固めるつもりだったので、マイナー論点の問題には取り組みませんでした。

・刑法事例演習教材
 知識の網羅性の補強や、罪責の見落とし防止のために用いました。短めの問題に複数の罪責、端的な解説、全問取り組んだ時の論点網羅性に優れています。ただし、刑法がよくわかっていない段階で取り組むには解説が端的で内容も難しいので、最後の一冊として利用するのがよいです。

・趣旨規範ハンドブック(民事系・刑事系)(辰已)
 持ち運べるサイズで網羅的に知識の整理がされているため、本番前に眺める本として利用しました。解いた問題で該当する箇所に、色に意味を持たせてマーカーでアンダーラインを引いていました。余白が大きめなので、追加したい情報は書き込んでいました。最後にマーカーで線が引かれていない部分も基本書等で確認して、全分野やりきったとの自信に繋げました。勉強が終わるたびに該当部分を見返す方法が、暗記に役立ちました。

7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス

 司法試験は相対評価で合否が決まります。この性質のために、大多数が答えられなかったことについて、答えられなくても不合格にはならないし、答えられたからといって圧倒的優位に立つということにもなりません。また、大多数がそれなりに答えられたことについて、回答が不十分になってしまうと不合格に近づきます。勉強が進むと、ついつい先端的な部分を答えたくなってしまいますが、あくまで受験生相場で多くの人が書くだろう事柄について、他の受験生より優れた記述ができるように目指していくのが無難な方策だと思います。
 LS在学中の方には、LS内に友達をたくさん作ることを強く勧めます。なぜかというと、どのような考えを持ちどのような勉強をしている人が、どのような成績を修め、司法試験合格・不合格となるのかのリアルなサンプルが集まるからです。合格者や不合格者から共通項を見出し、司法試験に必要な能力とは何なのかを自ら体感することは、自身の今後を考える上で非常に有用です。私が合格に至ったのも、多くの友達の状況を知っていたからです。また、一人で勉強して司法試験に合格できる人は稀有であり、ずっと一人で勉強することは不合格に近づく危険な勉強態度だと思います。
 来年のリベンジ合格を目指している方には、まず、司法試験受験生の中での相対化された自分の、強みと弱みをしっかりと分析してほしいです。合格者の平均に達していると思う強みには時間を割くべきではないですし、根本的な弱みの補強に注力すべきです。補強すべき弱みがわかったら、次はどのような方法を用いればよいかを模索してほしいです。一般的に良いとされている方法や自分がそれまで良いと考えていた方法が、実は自身にとっては効果が薄い可能性も高いです。私の例でいえば、不合格後の成績通知を見て、相対的な自分の成績把握能力や、自分がよく知っている論点やほとんど誰も答えられない論点での成績は高いという強みに気づき、多くの受験生が知っていることを答えられなかったという知識の穴という弱みに気づきました。このため、論文式の過去問を実際に書くことは控え、知識の穴を埋めることに注力することにしました。弱みの補強のために、最初は基本書を読み進めることで対応しようとしましたが、かかっている時間の割に成果が出ていないことに気付き、やめました。問題を解いた時の方が記憶に残っているようだったので、友人とゼミで簡単な問題集に取り組んでみたところ、成果を感じ、その後は簡単な問題集に取り組むことで知識の補強をしました。
 司法試験は、LS内の成績が良い人や法律をよく知っている人が必ず合格できるような試験ではありません。司法試験に合格しそうな人とはどのような人なのかを知り、合格しそうな人になるための作業に取り組んでいってください。
 劣等生である私ですら合格できました。次はあなたの番です。

辰已法律研究所 受講歴

【2018年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・司法試験全国公開模試

【2017年対策】
・スタンダード論文答練(第2クール)
・司法試験全国公開模試

【2016年対策】
・スタンダード論文答練(第2クール)

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