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司法試験は受かるべき人が受かる試験。合否は試験前から決まっている。

生粋の田舎者さん
受験歴: 新試験1回
中央大学法学部
一橋大学法科大学院 【既修】2017年入学・2019年修了
【受講歴】2019年司法試験全国公開模試
既修者一発合格

1 はじめに

 一番大事なことは、自分に合う勉強方法を確立し(使用教材を何にするかも含む。)、それを最後までやり抜くことです。不合格になった人をみると、①そもそも勉強時間が足りなかったり、自分で確立した勉強方法をやり抜く力がない人、②勉強方法や使用教材が周りに惑わされて右往左往して、中途半端な状態で試験を迎える人、③勉強方法を致命的に間違えてる人、の3類型に分類できます。人それぞれ自分に合う勉強方法があり、勉強方法の正解があるほど司法試験は簡単ではありません。合格体験記の存在意義は、読み手である受験生が、自分に合う勉強方法を確立するために(あるいは、既に実践している勉強方法が致命的に間違えていないかを確認するために)、合格者の勉強方法を“参考”にすることにあります。この合格体験記も、唯一絶対の道筋ではないということを踏まえつつお読み下さい。

2 司法試験合格までの道のり

 ロー入試に向けて勉強を開始したのは大学3年の秋です。そして、1年後の一橋大学法科大学院の既修コースの入試に合格しました(なお、東京の主要な私立法科大学院は全て受験し、合格。)。その後、一橋大学法科大学院を修了し、無事一発で司法試験に合格しました。なお、予備試験は既修3年次に初めて受験しましたが、短答不合格でした。なお、予備校は教材と模試を除いて利用しておらず、大学の研究室等にも所属していませんでした。

3 法科大学院受験前の学習状況

 大学の授業で履修していた科目については、言葉くらいは聞いたことがあるという程度ではあったので、アウトプットしながら適宜インプットするという方法が効率的であると考えました。具体的には、予備校の市販の問題集で問題演習をしつつ、解説だけでは分からないところについては基本書等で勉強しました。この問題演習は、1冊を10回~15回繰り返しました。また、規範等の暗記については辰已の趣旨規範ハンドブックも適宜利用していました。

4 法科大学院入学後の学習状況

(1) 既修2年次
 授業期間中はほとんど授業の予習・復習しかしていませんでした。長期休暇は、新司の過去問を解くゼミを組みました。具体的には、ロー2年の春休みが終わる前までに新司の23年~28年をやりました。また、ロー2年秋以降から、司法試験直前期の勉強で使えるような、情報を一元化したまとめノートを作ることを心掛けました(まとめノートについての詳細は下記5参照。)。

(2) 既修3年次(2018年4月~12月)
 授業の予習・復習の配分は、2年次よりは少なくなりました。その他の時間は、やり残していた新司の過去問を解いたり、選択科目の過去問を解くゼミを組んだりしました。また、3年次に初めて予備試験を受験したため、短答の勉強も始めましたが、合格点に10点ほど届かずに短答不合格となりました。

(3) 司法試験直前期(2019年1月~5月)
 1月の時点で出来ていた部分の自作のまとめノートを趣旨規範ハンドブックに挟み込み、情報の一元化をしました。そして、一元化したまとめノートを何度も繰り返し読みこみつつ、暗記していきました。このようにしてインプットした知識に加え、新司の過去問や問題集等で身に付けた、法的三段論法や現場思考問題への対応等の論文を書く力もあったため、3月に受けた全国模試(他校及び辰已)では、いずれも合格圏内に入ることができました。
 もっとも、短答については、予備試験受験後、まともに勉強をしていなかったので、3月上旬の他校模試で合格ラインを下回りました。そこで、辰已の「聞くだけ完成肢別本」というDVDを用いつつ肢別本を何周もしたり(詳細は下記6(2)参照。)、ネットで条文の音源を探して耳で聞きながら条文素読を繰り返したりすることで、3月下旬の辰已模試では合格圏内に入ることができました。
 その後、4月と5月は、まとめノートの読み込みと暗記や短答の勉強のほか、模試の見直しや過去3年分の重要判例解説のチェックをしたり、各予備校等が出している予想論点のチェックをして、その箇所のまとめノ-トを重点的に見直したりしました。

5 受験対策としてやっていたこと(情報を一元化したまとめノートについて)

 司法試験直前期に見返すことができるような、まとめノートを作ることをロー2年秋から意識し始めました。具体的には、①自作のまとめノートの作成と、②趣旨規範ハンドブックへのメモという2つを並行して行いました。自作のまとめノートについては、趣旨規範ハンドブックの規範や理由付けにやや不十分な箇所があったため、自分で規範等を基本書・判例・授業レジュメ・出題趣旨等を引用しつつ作成しました。もっとも、全ての論点を自作することは膨大な時間がかかり無駄ですし、趣旨規範ハンドブックには論点以外にも定義なども記載されているので、両者を一体化させようと考えました。そこで、自作のまとめノートについては、特に司法試験的に重要な論点や、ローの授業や過去問等を解く中で理解が不十分であった論点についてのみ適宜作成し、それを趣旨規範ハンドブックに挟み込むという方法で情報の一元化をしました。試験本番ではこの一元化したまとめノートのみを持っていきました。

6 使用教材(辰已教材)

(1) 趣旨規範ハンドブック
 論文式試験で出得る論点をほぼ全てカバーしており、趣旨規範ハンドブックに掲載されていない論点が出題された場合には、受験生の大半が知らない論点と考えてよいです。また、論証以外の定義などの部分もよくまとまっています。さらに、細かい論点も掲載されているため、短答式試験の勉強にもつながります。私は、ロースクール入試前から司法試験まで、趣旨規範ハンドブックに適宜メモしたり、言葉足らずなところに書き加えたり、覚えにくい論証を自分なりに改変したりしました。

(2) 肢別本&聞くだけ完成肢別本
 肢別本は、新司や予備試験の過去問を中心に、旧司や辰已オリジナル問題まで掲載されており、短答式対策として穴をなくすためには適切な教材です。また、解説も程よい量で書かれています。ただし、掲載問題が非常に多いため、何周もやり込もうとするとかなりの労力が必要で、私も予備試験前は1周以上できず、短答式不合格となってしまいました。そこで、私が使用した教材は、「聞くだけ完成肢別本」です。この教材は、辰已講師が肢ごとに解説してくれるDVDで、主に解説部分を朗読しつつ、適宜解説を加えたり問題文を確認したりする進め方です。内容が重複しているものや、新司に出そうもない問題等はとばしてくれるため、肢別本1冊あたり数時間で終わり、効率的に肢別本をまわせます。私は、この教材のスピードに合わせて“肢別本の解説部分を読む”という方法をとり、各科目10周程度は繰り返しました。この方法は、“問題文を読んで解く”という肢別本の基本的な使用方法ではないですが、重要なことは知識を押さえることであり、過去問と全く同じ文言で出題されるわけではないこと、基本的な使用方法だと問題文と〇☓をセットで覚えてしまうという弊害もあり得ることから、非常に良い勉強法だったと感じています。

7 これから受験する人へのアドバイス

(1) LS在学生へのアドバイス
 上記「1 はじめに」において、人それぞれ自分に合う勉強方法があると述べましたが、受験生に共通して必要不可欠と言えることが4つあります。それは、①新司の過去問を“早めに”解くこと、②法的三段論法や現場思考問題への対応等の答案の書き方を身に付けること、③十分な勉強時間を確保すること、④暗記を怠らないこと、です。
 まず、①新司の過去問を“早めに”解くことについては、ロー入学程度の実力さえあれば、早ければ早いほどいいです。私もそうでしたが、初見の問題を取っておきたいという人は、2年分程度残しておけば足りるでしょう。また、可能な限り全過去問解くことをおすすめします。2回以上解くか否かは、人それぞれで良いと思います。私は、2回以上解いた年度もありましたが、それよりも、1回でしっかり復習してまとめノートにメモし、それを何度も見返す方が力になると感じました。
 次に、②法的三段論法や現場思考問題への対応等の答案の書き方を身に付けることについては、数をこなすしかないと思います。法的三段論法を理解している人は多いですが、司法試験本番で法的三段論法を使いこなせる人は少ないです。逆に、それさえ出来ればかなり合格に近づきます。法的三段論法を使いこなせるようになるためには、適切な第三者に見てもらう方法が最も確実です。
 次に、③十分な勉強時間を確保することについては、何時間をもって“十分”とするかは人それぞれの学力や時期にもよりますが、1日平均8時間~10時間がひとつの目安になると思います。また、「効率重視」と言って勉強時間が少ない人がいますが、典型的な不合格者です。効率重視で合格する人とは、効率的に勉強することで同じ勉強時間で普通の人よりも多くのことを吸収する人です。
 次に、④暗記については、規範等を一言一句正確に暗記することまでは不要で、骨格となる重要部分を暗記することで足ります。そして、暗記する際には、単に文字を覚えるのではなく、その規範等の意味することを“理解しながら”暗記学習するべきです。論証パターンが批判されることから、新司には暗記学習は不要と誤解する人がいますが、全くの誤りです。問題文の事情等を考慮せずに暗記した論証パターンを張り付けるような答案が批判されているのであり、基本的な規範等すら答案に書けないようでは勝負になりません。つまり、“暗記学習だけでは新司には合格しない”が正解であり、暗記学習はあくまでも合格の“前提”ということです。
 最後に、必要不可欠とまでは言えませんが、司法試験直前期に何度も見返すために、情報を一元化したまとめノートの作成を強くおすすめします。趣旨規範ハンドブックや自作のまとめノートなど、一元化の教材は何でも良いですが、一から十まで自作のまとめノートを作るよりも、趣旨規範ハンドブックなどの既にまとまっているものを使いやすいように改変するという方がおすすめです。なお、情報の一元化については、遅くとも司法試験前の年明けには一応の完成形となっている方が良いです。それ以降もメモ等で充実させることはもちろんですが、徐々にまとめノートの見返しや規範等の暗記に重きを置いた方が良いからです。

(2) 来年初めて受験する方へのアドバイス
 司法試験は受かるべき人が受かる試験です。合否は試験前から決まっていると言っても過言ではないです。これは、どれだけ司法試験を意識した実効的な勉強ができたかだけでなく、どれだけ司法試験本番の緊張や想定外の事態を予測できていたかも含みます。後者について、私は司法試験初日の前夜、30分程度しか睡眠をとれませんでした。緊張と睡眠不足からくる焦りで、最初の選択科目では開始15分、問題文が頭に入ってきませんでした。また、初日を通して頭がまわっていない時が何度もありました。また、2日目前夜も、睡眠時間確保のため一切勉強できませんでした。このような苛酷な状況もあり、試験期間中はとても辛い思いをしました。しかし、このような状況でも、合格を諦めたりはせず、“相対評価だからなんとかなっているはず”と思うようにしました。それくらいの自信を持てる程度には準備をしてきたからです。司法試験本番で120%の実力を発揮できる人はいないですし、100%も少数でしょう。70%程度の実力しか発揮できない状況でも合格するような勉強と心の準備が必要です。
 そうはいっても、想定外の事態も起こります。そんな時でも慌てる必要はありません。実際、私が最も勉強と心の準備をしてきた選択科目は、上記のような状況であったものの一番良い順位でした。また、睡眠時間等の当日の状況にかかわらず、自分の得意科目と順位は相関関係にありました。試験当日の出来事なんかに心を左右されないことです。
 最後に、この合格体験を読んだ受験生の皆様へ。勝負はもう始まっています。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・司法試験全国公開模試

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