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問題文をよく読んで、最後まで諦めなければ大丈夫

若林 舞さん
受験歴: 新試験1回
早稲田大学法学部
東京大学法科大学院 【既修】2017年入学・2019年修了
【受講歴】2019年スタンダード論文答練(第1・2クール)、司法試験全国公開模試 他
既修者一発合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 法曹をはっきりと目指し始めたのは、大学二年生から三年生にかけてだったと思います。就職と法科大学院への進学のどちらかを選択するという局面で、ここまで学んできた法律をせっかくだから活かしたいという思いで法科大学院への進学を決意しました。そして法科大学院で、大手法律事務所のインターン等を経験する内に、自分も弁護士として世の中を動かすような仕事をしてみたいという思いを抱くようになり、進路を確定させました。
 大学三年の時に就職活動をしなかった時点で、司法試験受験という道を選択したことにはなるのですが、当時その覚悟までできたかというとそんなことはなく、「本当にこれでよかったのか」と悩むことは受験直前まで何度もありました。ですが、こうして無事合格して振り返ってみると、「あの時諦めなくてよかった」と心から思えます。

2 法科大学院受験前の学習状況

 正直に申し上げると、ここで特筆できるような法律学習は行っていなかったと記憶しています。大学の講義をそこそこ真面目に受講し、予備校の基礎講座を受けることで、基礎力はある程度養成されていたと思いますが、肝心のアウトプットの練習は後回しにして怠っていました。答案を書くという実践経験を学部時代にもっと熱心に積んでいれば、後々ずっと楽だったのにと今になって思います。

3 法科大学院入学後の学習状況

 入学後しばらくは、ハイレベルな同級生達に囲まれての初めてのソクラテスメソッド式の講義に着いていくのに精一杯で、勉強時間のほぼ全てを授業の予習復習に割いていました。
 そしてローでの授業に慣れてくると、いよいよ自分の実践経験の少なさが浮き彫りになり、辰已のスタ論を受講することを決めました。

4 受験対策として、辰已講座の利用方法とその成果

(1) スタ論(1C、2C)
 私はかなりの出不精で、大学の時に受けていた基礎講座もDVD受講でした。ですが、本番では多くの知らない人に囲まれて、座り慣れない椅子に座り、書き慣れない机で全力を出し切らなければならないのだから、家で一人で快適に答案を書いていては実践練習にはならないと思い、スタ論は必ず全て辰已校舎で受験しようと決意しました。
 第1クールは、決意通り全て校舎で受験しました。第2クールは、(言い訳ですが)全て受けに出かけるのは体力的に厳しいと判断し、各科目3回中2回は校舎で受験し1回は自宅受験にしました。自宅で答案を書いても、それをPDF化してメールで送れば、校舎受験の場合と同じように添削して返してもらえるというシステムは本当にありがたかったです。
 制度上は、Wordで作った答案も添削してもらえるのですが、個人的にはこれはあまりお勧めできません。パソコンで打つのと手で書くのとでは、かかる時間も労力も頭の使い方も全く違うので、真の「実践」という意味では効果が手書き答案よりグッと劣ると考えるからです。自宅受験をするにしても、答案はできる限り手書きで作成し、Word文書での提出はどうしても期限に間に合わない場合の最終手段として使うのがよいと思います。
 辰已のスタ論の良いところは、なにより配点表の細かさだと思います。この条文を指摘していたら何点、あてはめでこの事実に言及していたら何点、ととても細かく配点が設定されているので、少しでも多く点を取ろうという意欲が湧くのです。面倒くさがらず条文を指摘しないと勿体無い、手が疲れたけどこの事実も書いたらきっとあと1点もらえる、と答案を書きながら思うので、より充実した丁寧な答案に進化していきます。反対に、点数が振られない余事記載は減っていきます。もちろん、司法試験で実際どのように点が振られているのかは、出題趣旨や採点実感から推測することしかできないので、全面的に予備校の配点を信じるのは危険ですが、配点表を意識することで「読みやすい」答案になることはたしかだと思います。
 細かいことですが、本番で使用するペンなどもスタ論で色々試しながら決めました。添削で「字が細くて見づらいので、もっと太いペンにしてはどうか」という指摘をいただいたので、0.5から0.7に変え、本番も0.7で臨みました。出不精の体に鞭打って、一生懸命スタ論を受けに辰已校舎に通って本当によかったと思っています。

(2) 全国模試
 全国模試は、究極の実践経験でした。本番と同じ日程(時間割)で、同じ会場で、実際の受験生達と一緒に模試を受けるという経験は、本番での心配事を最小限にするために必須のものだったと思います。私は、辰已の模試の結果は正直芳しくなかったのですが、おかげでおしりに火が付きましたし、当日はこういう風に過ごそう、このタイミングでトイレに行こう、お昼はこうしようと、試験本番の具体的な計画を立てることができたのも、全国模試を会場受験したからこそでした。
 受験生の皆さまには、各司法試験予備校が開催する全国模試の中の、少なくとも一つは会場受験されることを強くお勧めします。

5 受験対策にあたって私が意識していたこと

 合格を無事手にできた今振り返ってみると、大切なことは結局以下の二つに尽きるのかなと思います。
 まず、「問題文をよく読んで問いに答えること」。試験は出題者との対話、とよく言われるように、出題者は答案に何を書くことを求めているのかを想像しながら論じることが必要です。いくら知識を答案に吐き出しても、聞かれたことに答えていなければ何の意味もありません。リーガルマインドを見せるという意識を持って、問題文に登場する悩めるXさんやYさんに寄り添いながら自分なりの解決方法を導けば、法曹養成のための試験である以上、採点官に好印象を与えられると私は考えています。なお、採点官がどのような思考で採点をしているのか知るためには、「出題趣旨」と「採点実感」を読むのが一番です。これらは試験委員からの貴重なメッセージであり、彼らが受験生に何を求めているのかが示されています。過去問演習の際には必ず読むようにするとよいと思います。
 二つ目は、「三段階論法を守ること」です。三段階論法を守るという意識をもって答案を書くと、とても読みやすい構成になりますし、論理破綻も起こしにくくなります。私は本番で、正確に書けなかった規範がいくつかあります。本番で論証を思い出せない時の焦りはすさまじいものですが、それでも三段階論法だけはしつこいくらいに守り、論理一貫性は絶対に崩さないよう気をつけながら答案を書きました。これがなんとか良い結果をもたらしてくれたのだと思います。

6 受験対策として使用した書籍等

(1) 短答対策
 直接的な短答対策としては、「短答perfect」(辰已)をひたすら解きました。本番で1問に何分かけられるかを計算し、その時間内に解くことを意識してタイマーで時間を計りながら解いていました。そして、少しでも知らないわからないと思った問題は、逐条本の該当箇所にマーカーを引いたり書き込んだりして、なるべくその場で覚えるようにしました。
 論文対策のため演習等をしている際も、逐条本はこまめにチェックするようにして、短答知識の補完は常に意識していました。

(2) 論文対策
 特に重宝していた基本書は、行政法の「行政法」(櫻井敬子=橋本博之)と民事訴訟法の「民事訴訟法」(安西明子ほか)です。この二科目は、この基本書だけを読み込むことで乗り切ったと言っても過言ではありません。どの科目についても言えることですが、最初は色々な教科書や参考書に触れてみて、最終的に自分に最も合う1冊に絞って勉強するのが良いと私は思います。その1冊にマークしたり書き込んだりしながら自分だけの1冊に進化させていくと、直前期の勉強をより効率的に進めることができます。また、試験当日はその1冊だけを持っていき読み直すと、心を落ち着けることができます。
 辰已書籍の中で重宝したのは、労働法の「1冊だけで労働法」、憲法の「読み解く合格思考憲法」、商法の「えんしゅう本」、それから各科目の「LIVE解説講義本」です。「1冊だけで労働法」は、その名の通り本当にこれ1冊で最低限はカバーできる超優れものでした。私はこの本に、ローの授業で習ったことなどを書き加えながら、労働法のお守りのように使っていました。「合格思考」はとても実践的な本で、憲法答案の書き方や規範を覚えるのに重宝しましたし、重要判例が多数引用されているのもありがたかったです。「えんしゅう本」は、問題を解いて論文対策をしつつ、規範部分にマークをして、規範を覚えるためにも使っていました。「LIVE」は言わずもがな、過去問演習に役立てていました。
 私はいわゆる趣旨規範本は持っておらず、演習しながら覚えるというスタイルで論証を身に着けていました。時間のない中でインプットとアウトプットを同時にやらなければならないという差し迫った事情があるためでしたが、答案で使える柔軟な形の規範を自分の中に染み込ませることができたという点で、このやり方は悪くなかったなと思っています。

7 これから受験する人へのアドバイス

 合格体験記を読むと、「合格者はこういう風に勉強していたのか、自分も真似しなければ」と思ったり「自分はこんな勉強法はとっていない、自分は間違っているのだろうか」と不安になったりすると思います。私もそうでした。ですが、勉強の仕方は結局一人一人違います。その人の個性に合った最適な勉強方法が必ずあります。合格体験記はあくまで「ふーん、そういう人もいるのか」と参考程度に読んで、良いと思ったら盗み、どういうやり方なら一番自分が楽しく効率的に勉強することができるか模索していけばよいと思います。
 試験勉強をしていると、優秀な仲間を見て焦りを感じたり、本当に受かるだろうかと急に不安に襲われたりすることも多いと思います。でも大丈夫です。今やっていることは決して無駄にはなりません。努力は必ず実ります。自分は絶対に大丈夫だと言い聞かせて心を強くし、楽しく前向きに勉強に取り組んでください。
 私の合格体験記が、読んでくださった皆さんのお役に少しでも立てば幸いです。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・スタンダード論文答練(第1・2クール)
・選択科目集中答練
・スタンダード短答オープン(第2クール)
・司法試験全国公開模試

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