司法試験

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短答を甘く見てはいけない

Y.Hさん
受験歴: 新試験1回
明治大学法学部
中央大学法科大学院 【既修】2018年入学・2020年卒業
【受講歴】2020年司法試験全国公開模試 他
既修者一発合格

1 司法試験の受験を決意した経緯

 司法試験を目指した理由は他の合格者の方のように高尚な理由があるわけではなく、学部時代の友達に司法試験を受験しようと誘われたからです。そのため、何か明確な法曹像があるわけではありませんでした。大学在学中は漠然と公務員試験を受けるつもりでしたが、友達に誘われるまま深く考えずに司法試験の受験を決めました。

2 法科大学院受験前の学習状況

 司法試験の受験を誘われた私は、何も考えずに予備校の入門講座を受講し、一応7法に触れました。もっとも、この当時は法科大学院に進学することは考えておらず、予備試験を頑張ろうと考えていました。そして、「予備試験も司法試験も論文が重要だ。論文を中心に勉強すべきだ。」という言説を鵜呑みにし、入門講座後は論文インプットの教材に手を出して答案の型を覚えるべく読書感覚で前から順番に読んでいました。しかし、この言説を間違って捉えていた私は短答をほぼやらずにひたすら論文インプットの教材を読んでいました。これは大きな間違いであったと反省していますが、知識の定着のためには短答の過去問が有用であり、上3法だけでもやっておくべきだったと後悔しております。辰已の短答過去問パーフェクトは解説部分で条文・判旨の重要部分を詳しく引用しており、知識の確認にはもってこいの教材でした。合格体験記を読まれている皆さまには短答の大切さに早くから気付いていただきたいと思います。

3 法科大学院入学後の学習状況

 私の在籍していた法科大学院は、深く学問を研究するというよりはある程度司法試験に近い形式の講義を採用する先生方が多くいました。そして、講義で用いられる問題集も事例形式のものがほとんどであったため、これを予習・復習することが司法試験対策に直結していました。そこで、法科大学院の講義を中心に置き、講義で扱った分野を論文インプット教材を用いて復習することにしました。このころには論文の型が何となく分かるようになっていたので、実際に答案構成をして解答例と見比べて何処が違うのかの分析をしていました。

4 具体的な受験対策―辰已の講座、書籍を利用して

⑴ 短答対策
 私はとにかく短答が苦手でしたので、周りの受験生より量をこなさないといけないことは自覚していました。そもそも暗記が苦手でしたので、予備試験も計3回受験しましたが、全て短答落ちでした。後述する模試でも短答は足切りギリギリの点数でしたし、司法試験本番でも平均点はとれませんでした。したがって、自信をもって短答対策を記載することはできないのですが、私が行っていた短答対策について書かせていただきます。
 基本的には周りの受験生と似たようなやり方だとは思いますが、新司法試験の短答の過去問を印刷したうえで時間を計って解き、短答過去問パーフェクトを用いて正誤判定をし、間違えた肢の条文・判旨は判例六法にマーキングする方法を採っていました。そして、模試や司法試験本番前はこの六法だけを見直すということをしていました。正直短答はやり方に個性を出しにくいものだと思うので、愚直にたくさんの問題を解いて知識を付けていってほしいと思います。

⑵ 論文対策
 論文は論文の型を覚えないとそもそも書けませんので、まずは辰已のえんしゅう本などの論文インプットの教材を用いて読書感覚で前から順番に読んでいきました。これを繰り返すと何となく論文の型を覚えてきますので、そうしたら次のステップとして答案構成を行い、答案例と比較してどこができていないのか、どうすれば書けたのかを検討します。単純に知識不足の場合もあれば表現の仕方が下手だった場合もあります。それぞれの対応を予め決めておいたうえで、答案構成の質を高めていくために何周もこの作業を繰り返します。
 ここで、実際に答案を書くか否かについては意見が分かれると思いますが、個人的には答案構成に留めておいてもいいのではないかと思います。なぜなら、フルで答案を書こうとすると心理的なハードルが上がり、勉強自体が億劫になる可能性があるだけでなく、時間もかかるため1周するのに何日も要することになります。そのため、論文インプットの段階では答案構成に留め、フルで答案を書く練習は答練を用いて行うことが効率のいい勉強法なのではないかと考えます。
 論文インプットの教材をある程度こなして力がついてきたら実際に答練を受講して「初見の問題を」「2時間で」「途中答案にならないように」「書ききる」練習をすることになります。司法試験本番では「初見の問題を」「2時間で」「途中答案にならないように」「書ききる」ことが求められますので、この練習をしないと合格は遠のくように思います。そこで、答練は必ず受講すべきであり、答案を書けば書くほど自信にも繋がります。もっとも、ただ書けばいいというものではなく、答案の型が身に付いていない状態で答練を受けても意味がありませんし、復習を疎かにしても受けた意味がありません。自分の中で答案の型がある程度分かったうえで、かつ、しっかりとした復習法が頭にある状態で受けるべきだと思います。
 私は他の予備校で答練を受講していたほか、辰已では福田俊彦先生の直前フォロー答練を受講していました。辰已の答練は採点表が細かいため、どの規範(事実)に何点配点されているかなどがすぐに分かります。そのため、復習がしやすく、自分の答案のどこがダメだったかを修正しやすい点が最大の魅力であると思います。私は答練受講後、福田先生の解説講義を聴いたうえで帰りの電車で答案構成用紙と解答例及び採点表を見比べて復習をしていました。

⑶ 過去問対策
 私は過去問対策については出題趣旨・採点実感を読んだうえで答案例を写経することをしていました。過去問対策として挙げられる再現答案の分析は全く行わず、完全解の理解に努めていました。ぶんせき本を一読すれば理由をご理解いただけると思いますが、再現答案はいわゆるお色直しがされており、試験当日に書かれたものよりだいぶ出来の良いものが並んでいます。再現答案を実際に作成されると分かりますが、試験当日に何を書いたのかの記憶はだんだんと薄れていくものであり、実際に作成するときには論証を見ながら作成する受験生もいるとの話を聞きます。このような答案を分析することの意味が正直理解できなかったため、私は再現答案の分析という王道の勉強方法は捨てることにしました(実際、不合格答案とされているものの中には、これで不合格なのかと疑わざるを得ない答案が散見されます)。

5 自己の反省を踏まえ、これから受験する方へのアドバイス

 私は短答が最後まで苦手でしたが、司法試験の場合は短答で足切りに合う受験生も一定数いるうえ、総合点を出すときには1科目分として換算されます。そのため、短答を甘く見てはいけないと思います(別に私も短答を舐めていたわけではありませんが…)。とくに民法は範囲が広いうえに配点も憲法刑法と比べると高いため、毎日少しずつでも触れた方がいいと思います。
 また、法科大学院に入学する方の中には自主ゼミを組むのがデフォだと考えている方もいるかもしれませんが、私は自主ゼミを組むことなく1人で勉強していましたし、無理に自主ゼミを組むことで自分のペースが乱されるようなことがあっては本末転倒です。自分がどのようなタイプでどのような勉強法が合っているのかを早めに見つけることは早期合格の鍵になると考えています。
 司法試験の合格者は1500人近くいるのですから、勉強のやり方も千差万別です。様々な情報の中から取捨選択したうえでベストな勉強法を見つけてください。皆さまの司法試験合格を心よりお祈り申し上げます。

辰已法律研究所 受講歴

【2020年対策】
・直前フォロー答練 福田クラス
・司法試験全国公開模試

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