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分析を通じて自分に合った勉強方法を見つけることが合格の近道

今井 奏多(仮名)さん
受験歴: 新試験3回
中央大学法学部
慶應義塾大学法科大学院 【既修】2016年入学・2018年修了
【受講歴】スタンダード論文答練 司法試験全国公開模試 他
既修者リベンジ合格

1 司法試験受験を決意した経緯

 私が法曹を目指したきっかけは、親戚や家族に専門職についている者が多かったことから、何かしらの専門性を身に着けたいと考えたことです。そして、元々調べることや文章の読み書きが好きだったことに加え、大学の実績とサポート体制があったことから、司法試験の受験を決意しました。

2 法科大学院受験前・入学後の学習状況

(1) 法科大学院受験前
 私が本格的に法科大学院の受験勉強を始めたのは大学3年生の後期入ってからでした。司法試験に合格した先輩が作成した論証パターンを見ながら答案を書いて、ロー入試に合格した先輩に見ていただきました。加えて上記論証パターンを暗記して法科大学院の受験に臨みました。その他の勉強は学部の試験勉強以外はほぼ出来ておらず、この時の突貫工事的な勉強が司法試験受験を長引かせたと思っています。

(2) 法科大学院入学後
 私の法科大学院では、定期試験のGPAと司法試験合格率に高い相関関係がありました。また、法科大学院の成績は就活でも重視されていました。そのため、法科大学院で良い成績を取ることを目指し、法科大学院の試験対策を重点的にしていました。もちろん、司法試験の過去問分析もしていましたが、1年目は未着手の科目もありましたし、明らかに過去問分析と演習は不足していたと思います。

3 辰已講座の利用方法とその成果

 合格した年に初めてスタンダード論文答練(以下「スタ論」)の第1クールと第2クールを受講しました。スタ論は、出題可能性の高いとされる分野を中心に網羅的に出題されていたので、基礎知識の補強や書き方等を学べました。特に憲法の移動の自由はスタ論で勉強していたからこそ、落ち着いて本番に書くことができ、公法系科目の高得点につながったと思います。また、スタ論を受講することで、周りの受験生の相場観や、どの部分ができないと差がつくのか等が分かってきました。私は皆が書くところの論述が薄く、書いている人が少ない論点の論述が長い等バランスを欠く答案を書いてしまうことがあったので、この相場観を理解したことは合格に寄与したと思っています。
 他には、改正民法に苦手意識があったので、趣旨規範を利用した論文直前速まくり講座を受講することで改正民法の知識を補強すると共に、書き方も学ぶことが出来て大変勉強になりました。

4 論文対策

(1) 敗因分析
 1度目の司法試験を受験した際、数点差で不合格となりました。順当にいけば、2度目で受かってもおかしくなかったはずなのに、なぜ2度も落ちたかというと、敗因分析の甘さが原因だったと思います。1度目の不合格時には単純に不合格の原因を“勉強不足”とだけ判定し、合格者の実践した勉強を網羅的にすれば合格できると考えました。しかし、合格者の実践した勉強は千差万別で、それを網羅することは不可能に近かったのです。なぜならば、司法試験過去問は大量にあり、答練は定期的にやってきて、その上、旧司法試験や予備試験、多くの受験生が取り組む演習書、市販の論証集や辰已の『趣旨・規範ハンドブック』、百選・重判等の判例集に取り組むとなるとどう考えても時間が足りません。結果、計画倒れして直前期にメンタルがやられるという事態に陥りました。
 そこで、3度目の受験時に初めて本格的な敗因分析を行いました。その結果、理解している分野が出ればAが取れる蓋然性が高いこと、一部誤読による明後日方向の論述があることに気付きました。また、合格者にも一緒に分析していただき、私の場合、答案の書き方には問題がなく、足りないのは基礎知識の本質的な理解と問題文を正確に読む力だと確信しました。

(2) 基礎知識の理解
 上記分析を通じて、基礎知識の理解に力を入れました。ここでいう“基礎知識”とは、多くの受験生が押さえてくると考えられる『趣旨・規範ハンドブック』に掲載された知識と定義します。『趣旨・規範ハンドブック』に掲載されている知識部分について、論文を意識しながら、基本書を読み、わからない場合は演習書・判例集にも当たり、どのような時にこの論点が問題となるか、どのように論証を書くか、どうあてはめるかを理解し一元化ノートにまとめました。この一元化ノートに、過去問の分析の末に固めた答案の型や採点実感で重要そうなものも追記して直前期に見返せるようにしました。

(3) 過去問演習
 過去問は、多くの人が最重要と認識しているため、本来は全年度起案し、出題趣旨と採点実感を読み込み分析するのが好ましいとは思います。しかし、基礎知識を補強しながら、上記手順で過去問に取り組むのは時間的に無理でした。そこで、過去問の重要性が高い憲法、行政法、刑事訴訟法は全年度、その他の科目は直近3年と出題可能性が高いと判断した年度のみ勉強しました。また、過去問の取り組み方にも差異を設けました。本格的に直前期まで起案したのは、答練や模試で時間切れを起こしていた行政法と、記述面で差がつくと考えていた刑事訴訟法のみです。その他は、苦手としていた問題文を正確に読む力を培うために、問題文、出題趣旨、採点実感を読み比べてどのような読み方やマークをすれば正確に問題が読めて、出題趣旨や採点実感の“一応の水準”に到達できるのか考えました。さらに、どのような部分に点数が入っているのか、どのような書き方をしたら効率的に点数が取れるかも、出題趣旨、採点実感に加え、辰已の『ぶんせき本』の優秀答案を参考に分析し一元化ノートにまとめました。

5 短答対策

(1) 憲法
 演習教材は辰已の『短答過去問パーフェクト』と『肢別本』の旧試肢を使って勉強しました。パーフェクトを一肢ずつ検討し、結論・理由付け共に完璧な肢は〇、どちらかが誤っている肢は×、その他は△とし、全てが〇になるように勉強しました。また、解答を丁寧に読み込むことを重視し、知識の理解が曖昧だと感じたものは百選も読み込みました。

(2) 民法
 演習教材は『短答過去問パーフェクト』を使用し、憲法と同様に勉強しました。ただ、最終的に全てを〇にすることはできなかったと記憶しています。
 また、民法は過去問のほかに改正部分が出ると予想していました。そのため、条文を素読して、改正部分で分かりにくいところや暗記が必要な箇所は前日に見返せるようにノートにまとめていました。この勉強法は大変効果的で、本試験では高得点を取得することができました。

(3) 刑法
 刑法も民法や憲法と同様の方法で、パーフェクトを使用し一肢ずつ検討しました。刑法は、特に学説の理論問題が論文にも生きてくる科目だと思うので、短答を勉強する際に論文に生かせるかも同時に勉強しました。

6 リトライ受験生に向けて

 私は、今まで述べてきた勉強方法で、短答式・論文式双方、一般的に就職で有利だとされる500位以内の順位で合格することができました。しかし、それはあくまで、“私が”上述勉強方法を実践したからです。リトライ受験生の中には“書き方”に問題があって不合格になっていらっしゃる方もいるかと思いますが、その場合私の勉強方法は不適切です。私がお伝えしたかったのは、弱点を見極め、それを改善することに尽力することが大切だということです。私も、過去問を全年度潰すという基本的な合格者のセオリーに反する勉強をしており、不安もありましたが、弱点は潰しているという実感があったので司法試験を受けきることが出来たと考えています。

7 コロナ禍における司法試験の受験について

 令和2年度の司法試験は、実施日程不明の延期と8月の司法試験の実施という大変イレギュラーな環境の中で行われました。延期の際に具体的な日程が提示されなかったので、日程発表までモチベーションを維持して勉強できず、直前期に後悔や焦りから勉強が手につかなかった方が散見されたように思います。しかし、私の周りでは、イレギュラーな環境の中でモチベーションを維持して勉強を継続できた方はかなりの少数派でした。司法試験の受験生には努力の天才もいらっしゃいますが、時にはモチベーションが湧かないことも、他のことを考えてしまうこともある普通の人間も多くいます。私も、日程発表までモチベーションを常に維持することはできませんでしたが、他の受験生と焦りを共有することで、全員同じプロセスを辿っていることを知り、直前期にメンタルが落ちるのを防止することができました。コロナ禍等のイレギュラーな受験でも通常の受験でも、合格者の多くは人の子ということを認識することはメンタルを維持するうえで大切だと思います。
 また、令和3年度の司法試験は合格発表から司法試験まで短期間でまとめなければならないという難しさがあります。この場合、司法試験の終了時から合格発表までの期間、勉強をしていなかったという後悔や不安を抱える方が多くいらっしゃるかと思います。しかし、上述の期間に勉強を継続されてきた方は観測上ほぼいらっしゃらないように感じられました。そのため、決して焦る必要はなく、最後まで自己分析して弱点を潰し、自分の考えた勉強をやりきることが大切だと思います。

辰已法律研究所 受講歴

【2019年対策】
・司法試験全国公開模試

【2020年対策】
・スタンダード論文答練(第1クール・第2クール(スタ論ゼミ))
・司法試験全国公開模試
・論文直前速まくり特訓講義 民法【改正民法 趣旨・規範ハンドブック いっき速まくり講義】
・福田俊彦講師による民訴強化講義Just6時間

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