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コスパを考えるなら経済法

K.Kさん
受験歴: 5回
関西大学
関西大学法科大学院 【既修】2016年入学・2018年修了
【受講歴】スタンダード論文答練(第1・2クール) 他
選択科目

1 経済法を選択した理由

 まず1番の理由は、勉強時間がかからないという点です。基本7科目により多くの勉強時間を割き、なるべく選択科目には時間を費やしたくないと考えていたのが最大にして唯一の理由です。私がロースクールに在学していた当時はまだあまり選択者が多い科目ではありませんでしたが、先輩や同級生数人が選択していたこともあり気になりませんでした。

2 経済法を選択したメリット・デメリット

 メリットは、上述の通り勉強時間がかからないという点です。経済法は試験の範囲が選択科目の中でも狭く、暗記量も少ないと言われています。また、答案の型がある程度決まっており、答案の書き方に悩まなくてすむという点も挙げられます。例えるなら、行政法と刑事系科目を足して2で割ったような感じです。なので、上記2科目が得意な方はすぐに合格答案が書けるようになると思われます。また直前期でも復習に時間が取られないことから、その時間を範囲の広い民事系等に費やすことができたので、選択して良かったなと感じています。
 デメリットは、①条文選択をミスすると点数があまりつかなくなること ②ロースクールによっては授業が充実していない場合があること、テキストや演習書が少ないこと ③高得点を狙いにくいこと の3点です。①は判例百選を読んで事例に慣れて条文選択の感覚を身につけることによって対策できますし、他の選択科目でも同様のデメリットはあると思います。②はそもそも試験範囲が狭く暗記量も少ないので、定義や答案の型を身につければ演習書がなくても全年度の過去問と予備校答練で十分だと思います。現に私も演習書は使用しませんでした。③について、一定程度のレベルに達すればよほどセンスがあって得意でない限り60点以上の点数が狙いにくい、いわゆる他の選択科目に比べると「ハネにくい」と言われています。総合順位の上位を狙うのであればこれが1番のデメリットかもしれません。条文選択を外さず事実も過不足なく拾ったとしても周りの経済法選択者とあまり差がつきにくいので、必然的に高得点も狙いにくいと言えます。しかし、一度完成させれば安定して合格ラインの50点前後は得点できますし、勉強時間が少なくて済むというメリットを考えれば、「選択科目で高得点を狙いたい」と思わない限りメリットの方が大きいと私は思います。

3 法科大学院での学習状況

 インプットの講義と過去問を用いた演習の授業をとっていました。学部時代は全く経済法を勉強したことがなく初学者の状態でしたが、上述の通り範囲が狭く答案の型も決まっているので十分間に合いました。また当時、経済法は多数派ではなかったので出身ロースクールでは授業やゼミが充実しているとは言い難い状況でしたし、今もその状況に変わりはありません。しかし、上記経済法のメリットから特に困ったと感じたことはありませんでした。

4 受験対策として私がやって成功した方法

 1つ目は、頻出の条文の文言の定義を正確に暗記することです。これは全科目に共通して言えることですが、受験生が当たり前に書ける基本的な定義を正確に書けていないと、採点者は「その後の答案の記述もたいして書けてないだろう」という事実上の推定が働き採点も厳しくなるそうなので、定義は正確に暗記し書けるようにしておいてください。
 2つ目は、答案の型を身につけることです。経済法は上述の通り答案の型がしっかりと決まっているので、そこから外れないようにしなければなりません。条文の文言の定義を正確に示し、明らかに該当する時でも細かく当てはめていくことが重要です。そして、条文選択が微妙な場合は選択した理由を記述する、市場を正確に画定する、「競争を実質的に制限する」や「公正競争阻害性」等は配点が高いので多くの事実を拾い読みやすい文章を心がけてしっかり記述する、「正当化自由」を忘れずに検討する、といった注意点を意識した答案が書けるようになれば、安定して合格ラインの点数をとることが可能です。
 3つ目は、条文選択をミスしないことです。ここが1番重要です。ミスをすれば点数がかなり下がるので最大限に注意を払わなければならないポイントです。私はこの対策として、判例百選を読み込みました。基本的に百選の事例を少し変えたものが出題されることも多いので、百選の条文ごとの目次を意識しながら事例と判旨を頭に叩き込めば、条文選択の感覚が掴めてくると思います。このとき、なぜその条文が選択されているのかの理由づけ等も解説を読めば書いていることが多いので、なるべく解説も読んだほうがいいと思われます。辰已の答練で初見の問題を解くことにより、自分の条文選択の感覚についてのペースメーカーとしていました。
 4つ目は、しっかり過去問や予備校答練の問題を解いて論文を書くことです。逆に言えば、演習書を使用しなくても過去問と予備校答練の問題で十分受験対策が可能です。上記3つを身につけるためにも、全年度の過去問の答案をしっかり書くか最低限答案構成をすることをオススメします。

5 使用した本

・「1冊だけで経済法」辰已法律研究所
…定義等インプットの総復習のため。また過去問と出題趣旨、答案講評、再現答案の全てが文字通り1冊に記載されており使いやすかったので使用しました。

・「独占禁止法(第2版)」商事法務 菅久修一他
…全体像を把握するために基本書が読みたかったので使用しました。ロースクールの先生や先輩に勧められたのでこの基本書にしました。そこまで使用頻度の高いものではありませんが読みやすく分かりやすい基本書だと思います。

・「経済法判例・審決百選(第2版)」有斐閣
…条文選択の感覚を養うため。読む必要はないという人もいますが、私としてはマストアイテムだと思います。1回目の頃の受験では時間もなくあまり読んでいませんでしたが、しっかり読み込んで内容を把握することで条文選択のミスも減り、点数も安定したので、百選は出来ればしっかり読み込んでください。

6 自己の反省をふまえ、これから受験する人へのアドバイス

 条文選択の感覚をつかむために百選をしっかり読むのは少し大変な作業かもしれませんが、百選はどの科目でもある程度は読まなければなりませんし、他の選択科目の範囲の広さや難かしさ等を考えれば、高得点を狙うのでない限りはやはり経済法はコスパのいい科目だと思います。選択科目の選択は受験戦略の1つです。私はコスパを狙って経済法を選択しましたが、経済法を選択して良かったなと思っています。この合格体験記が選択科目を選ぶ上でのご参考になれば幸いです。

辰已法律研究所 受講歴

・スタンダード論文答練(第1・2クール、選択科目)
・全国公開模試

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